東大の力だけではハーバードに入れない

ハーバード教育大学院チェンジ・リーダーシップ・グループ創設者で元共同ディレクターのトニー・ワグナーの著書『未来のイノベーターはどう育つのか』(英治出版)は、新しい時代の教育のあり方、創造的な人に育てる秘訣を紐解くバイブルとも言える名著です。私が印象に残っているのは、世界で最も創造的な教育研究機関の一つとして著名なMITメディアラボ(ハーバードのすぐ近くに位置しています)が「幼稚園にインスピレーションを得ている」という節です。

「幼稚園では複数の園児が一緒になってモノをデザインしたり作ったりする。創造性を養ういちばんいい方法は、他人と協力してモノをデザインしたり作ったりすることです。そして人は自分が強く関心があることに取り組むとき、つまりそれに情熱を注げるとき、最高の働きを見せるのです。メディアラボでは、学問領域の枠を超えて考えるよう指導しています。幼稚園ではフィンガーペインティングが、色の混ぜ方という科学の授業であり、物語を創作するプロセスでもあります」

創造性を養うには幼稚園がヒントになる。違いを超えて一緒にものをつくったり、物語を創作すること。そして、幼児はよく質問をします。「なぜ?」「どうして?」「これなに?」。そんな好奇心旺盛で、よく質問をし、人と一緒に何かをつくることが大好きな幼児らしさが、創造性の秘訣なのではないか。非常にシンプルです。ハーバードにあって東大にないものは何かという問いに対して、私が感じてきた感覚と合致します。つまり、「ハーバード=東大+幼稚園」でできているのです。

子どもの創造性をどう伸ばせばいいのか

創造性を育む秘訣は、幼児のような心を持ち続け、好奇心から湧き上がる問いを大切にすること、そして異なるもの同士を組み合わせて何かを創作することです。

本山勝寛『そうゾウくんとえほんづくり』(KADOKAWA)
本山勝寛『そうゾウくんとえほんづくり』(KADOKAWA)

そんな観点を踏まえ、日本の子どもたちに不足している創造性を伸ばすためのツールをつくろうと思い、『そうゾウくんとえほんづくり』(KADOKAWA)というワークブックを出版しました。異なるもの同士を組み合わせて新しい言葉やオリジナルなキャラクターをつくるといったワークを積み重ねて、最後にはオリジナル絵本を創作するというものです。日本の子どもたちも、自分が創造的だと自信をもって回答できる「そうゾウくん」になってもらいたいです。

日本人に足りなかったのは、シンプルに「幼児のような心」だと思い、少し肩の力を抜いて、大人も一緒になって童心に帰ってみてください。そのうえで、子どもたちの純粋な疑問や問いを大切にし、一緒になって何かを創作してみてください。そして、立場の異なるさまざまな人たちと一緒に共同作業をするような、そんな機会をつくってみてください。

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