イノベーションに大切な「組み合わせる」思考
ハーバードで感じたもう一つのことは、異なるもの同士の組み合わせを意図的にデザインしていることです。世界中から多様なバックグラウンドをもった学生や教授陣を意図的に集めていることから始まって、異分野同士の組み合わせによるコラボレーションが感じられることが多かったです。
たとえば、教育とテクノロジーの組み合わせとして、100ドルのノートパソコンを最貧国の子どもに届けて教育のイノベーションを起こそうとするプロジェクトや、インターネットマーケティングと政治を組み合わせて、ハーバード卒業生のバラック・オバマ元大統領がSNSを駆使して選挙活動を展開するなどです。オバマのネット戦略を指揮したクリス・ヒューズもハーバード出身で、マーク・ザッカーバーグと共同でフェイスブックを設立した人物です。
オバマの大統領就任後の手腕は置いておくとして、2007年から2008年にかけてSNSを革命的に活用したオバマの選挙活動の手法は、「ネット×マーケティング×政治のイノベーション」そのものだと感じたことを記憶しています。
創造的な人を育てる秘訣とは
ビル・ゲイツやオバマの話などすると、遠い別次元の世界の話のようにも思いますが、ここで立ち返っていただきたい本質はたった2つです。
「『なぜ』という問い」と、「異なるもの同士の組み合わせ」です。
私は、ハーバードと東大の違いは何かという問いに対して、「創造性」ではないかと思っています。では、「なぜ両者に創造性の違いが生まれるのか?」という問いに対しては、この2つ、「『なぜ』という問い」と「異なるもの同士の組み合わせ」なのではないかと感じるのです。非常にシンプルなことです。
そして、そこに創造的な人を育てる秘訣があるのではないかと思うのです。