ジョンソン政権に狙い撃ちされる出稼ぎ労働者

英国のボリス・ジョンソン政権が移民排斥に向けた動きを強めている。英政府は2月19日、ポイント制にもとづく新たな就労ビザ(査証)制度を公表、2021年1月1日から実施すると発表した。詳細には言及しないが、この新制度の目的は、高いハードルを設けることを通じて英国で就労する外国人労働者の数を制限することにある。

質疑応答のため首相官邸から出てくるボリス・ジョンソン首相=2020年2月26日
写真=AFP/時事通信フォト
質疑応答のため首相官邸から出てくるボリス・ジョンソン首相=2020年2月26日

事実上、狙い撃ちとなっているのが、自ら袂を分けた欧州連合(EU)からの出稼ぎ労働者たちだ。これまで主にポーランドやルーマニアといった中東欧諸国からは、高い賃金を求めて多くの人々が英国へ出稼ぎに赴いていた。彼らはいわゆる低賃金労働者として活躍し、英国民の生活になくてはならない存在であった。

しかし移民労働者の存在は、同時に英国民にとって畏怖の対象にもなった。少なくない英国民が、移民労働者は英国民から就労の機会を奪う存在であると考えるようになった。こうした移民に対するネガティブな感情が、英国民をEU離脱に突き動かす一因になったという見方は、一定の説得力を持っている。

英政府は、英国で就労しているEU出身者の約7割が新制度で必要となるポイントに満たないとみている。すでに永住権を持つEU出身者には影響がないものの、ポイントが不足する出稼ぎ労働者は本国に強制的に帰還させられることになる。同時に、将来的にEUから移住したり出稼ぎに来たりする人々の数が制限される。