後悔しているのは3つ目のエラー

人生で4回もクビになった人って、なかなかいないんじゃないですか。僕がその珍しい1人です。アメリカのマイナーリーグ、西武ライオンズ、イタリアのプロ野球、千葉ロッテマリーンズ。これまで世界各地の4球団から解雇を受けました。

現役選手時代、「楽しい」と思ったことは一瞬もないです。ホームランを打っても嬉しいのは1秒後まで。次の瞬間には、「次の打席も打てるだろうか?」と不安に駆られていました。真剣勝負を繰り返す中で、身を削っている感覚が常にありましたね。

でもほとんどのプロ野球選手は、水面下ではもがき苦しんでいると思います。北京五輪のときだって、錚々たるスター選手がベンチ裏ではめちゃくちゃ緊張していましたから。稲葉篤紀さん、新井貴浩さん、西岡剛さん……。

その北京五輪で、僕はエラーを3回しました。準決勝で2回、3位決定戦で1回。でも準決勝のエラーは、実は後悔していないんです。あれは金メダルを取りにいこうと、心も体も最高の準備を整えて、ベストを尽くした結果のエラーだったので。悔しくて泣きたかったですけど、そこは割り切れました。ただ、試合が終わったとき、「自分のせいで金メダルの夢が途絶えた」「星野(仙一)監督が自分を明日の3位決定戦に使うわけがない」と気持ちが切れてしまったんですよ。それで何の準備もせずに寝て、朝起きたらまさかのスタメン。「嘘だろ?やめてくれよ」と汗が流れました。