なぜ箇条書きは頭に入りづらいか

骨組みが固まったらそこに集めた情報を入れ込んでいくわけですが、ここが4つ目のポイント、「内容の根拠となる情報を整理する」です。たとえば骨組みが次のようなものだとしましょう。

「A社はシェアを伸ばしている。弊社はシェアを落としている。なぜなら新商品の発売が遅れているから。早急に新商品を発売してシェアを取り戻さなければならない」

この骨組みを裏付ける情報はすでに集まっていると思いますが、資料に入れるときは情報を整理する必要があります。たとえば「弊社が早急に新製品を発売すべき理由は8つあります」などと言っても、誰も聞いてくれません。余計な情報を削ぎ落とすとか、相手が大事だと思う部分をうまく打ち出して、3~4つくらいに集約しましょう。

ここまで下書きができれば、あとはパワーポイントを使って表現していきます。このとき大事なのが5つ目のポイント、「図解の『型』を活用する」です。なぜ図解にするかといえば、人間は箇条書きの文字を読むより、図を見たほうが直観的に理解できるから。しかしたいていの人が、ここでハタと手が止まってしまう。それはどんな図を描けばいいか、わからないからです。

実は図にはいくつかの基本的な「型」があります。箇条書きにした要素がそれぞれどのような関係でつながっているかによって、ふさわしい「型」を選んでいきます。

“人の心を動かす”6つの図解の見せ方

グラフを入れる際に気をつけたいのは、自分の伝えたいメッセージが明確に言葉になっているかどうか。たとえば各社の売上高を棒グラフで並べるだけでは、正直、何を言いたいかわかりません。そこでA社とB社の差分を示したり、「B社の売り上げは何億円まで迫っている」という説明の一文を入れたりと、自分が言いたいことを強調して伝える必要があります。逆にいえば、その主張がないグラフは何のためにあるのかわかりません。「自分のスタンスを明らかにしたくないから、解釈は見る人に委ねる」という方も多いですが、人を動かす資料を作りたいなら、自分の意見やメッセージを打ち出すことは不可欠です。

(構成=長山清子 撮影=関口達朗)
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