「これから転職する場合にどんな勉強をしたらいいか」とは、よく訊かれる質問ですが、1つ言えるのは、「この資格があれば転職しやすくなる」といった話は信じてはいけない、ということです。

もちろんあらゆる資格が無駄だということではありません。医師や弁護士など、その仕事をするためにライセンスが必要な場合は、その取得は必須ですし、コンサルティング会社のようにMBAを持っていることが採用の条件になっている場合もあります。あるいは不動産業における宅建のように、仕事をするうえで取得すると有利で、取ると会社から手当が出るような資格もあります。

ただ「転職に有利だから」という理由で、仕事の合間に取れるような資格を取るために学校に通ったりするのは、時間の無駄だと思います。たとえば営業部門から経営企画部門に行きたい人が、中小企業診断士の資格を取ろうと勉強していることがありますが、そうした資格があるからといって、転職して希望のポストに就けるわけではありません。

転職先を選ぶうえでよく申し上げているのが、「『できること』『やりたいこと』『求められること』の3つの円を描いて、その重なる部分で仕事をしましょう」というアドバイスです。

自分ができること、やりたいことを徹底的に磨き上げ、得意技をつくって、それによって世の中のニーズに応えていくのです。

自動化とともになくなる職種

一般に仕事をその給与の原資で分類すると、

①原価で扱われる仕事
②販売管理費で扱われる仕事
③利益処分で報酬をもらえる仕事

に大別されます。受付業務や伝票整理のような作業的な仕事、時間給で計算されるような仕事は、原価すなわちコストとして扱われる仕事であり、自動化の進展とともに次第になくなっていきます。

私のお勧めは、目の前の仕事に集中し、そこに自分の得意技を見出すことです。その意識を持たずに、巷の副業ブームに乗って、得意技や本業と関係のない仕事を始めるのはやめるべきだと思います。

(構成=久保田正志 写真=Getty Images)
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