【小泉】すべての電力会社がそう言ってるわけではないです。東京電力HDは1%空けられると言っています。ただ、ほかの電力会社の中にはそれを面白く思っていないところもある。

電力会社は潰れないんですよ

【田原】僕は、電力業界は最悪だと思ってる。電力会社は潰れないんですよ。電気をやめる家庭はないからね。倒産の危険性がないから経営が緩んで、関西電力みたいなことが起きる。

【小泉】緊張感がないということだね。

【田原】まったくない。東電も関電も何も考えてないよ。だって、東電は事故は起きないと地元に言って、避難訓練をやらなかった。やったら事故が起きるんじゃないかと言われるからね。さらに一番の問題は、非常用発電装置だ。アメリカは竜巻が多いから、万が一のための非常用発電装置が全部地下です。福島はどうか。あそこは1200年前から津波が来ることがわかっていたのだから、もっと上にしておけばよかった(福島第一原発は非常用発電機13台中10台が地下に設置)。そういうことをまったく考えてないんですよ。

【小泉】いまそれを変えています。僕は内閣府の原子力防災担当大臣でもある。その最大の仕事の1つは、避難計画作りですから。

【田原】自民党の幹部に、エネルギーに責任を持ってる人は誰もいないよ。小泉さんがやってよ。

【小泉】環境省はエネルギーについての権限が本当に限られています。権限はないにもかかわらず、やりたいことをやろうとしたら、そことことごとく関わってくる。これはね、大臣になってから悩んでますよ。

【田原】どういう人が邪魔をする?

【小泉】まず前提から言うと、僕は日本がいますぐゼロ石炭ということは言えないと思います。ただ、いまのままの石炭火力政策でいいのかと問われたら、そうも思わない。ならばどこで日本が国際社会から前向きな評価を得られるかというと、輸出です。石炭火力の輸出の中に政府の公的な信用をつけるための4要件があるのですが、これをより前向きな方向にアップデートしたら評価も変わりうる。その調整を経産省相手に試みましたが、やっぱり堅かった。

【田原】経産省が反対するんだ。

【小泉】これも報じられていませんが、4要件の話は、COP25の内外記者会見で話しています。きっと次の国会では、石炭火力の問題も1つのテーマになる。だから成功なんです。

【田原】いままではテーマにすらならなかったと。