報道されるだろうと思った

ならば真っ正面から批判を受け止めようと。国連のグテーレス事務総長は“炭素中毒”と言いました。ステートメントの中でその言葉をあえて引用した理由は、きっとこのことが報道されるだろうと思ったんです。そうすれば、国際社会が石炭に対してこんなに批判が強いんだということにきっと気づくんじゃないかと。

小泉進次郎●1981年、神奈川県生まれ。関東学院大学卒、米コロンビア大学大学院修士号取得。2009年に衆議院議員総選挙で初当選。19年9月に環境大臣、内閣府特命担当大臣(原子力防災担当)に就任。男性の初入閣では戦後最年少。

【田原】報じてもらえたから成功なんだというわけね。でもそのあと、経済産業大臣の梶山(弘志)さんは、日本はこれからも石炭火力発電は選択肢として残しておき、しかもそれを輸出すると言いました。

【小泉】経産相の方針とは違うところがあります。それは当たり前で、僕らは違う組織ですから。ただ最後は政府の統一的な動きの中で考えないといけませんが。あと、そもそもエネルギー政策の主幹は経産省。環境省の権限は極めて限定的です。よく具体性がないと言われますが、エネルギー政策の主幹をしていない中で何が言えるかということがある。

【田原】化石賞受賞はどうですか。

【小泉】化石賞をこんなに報じるのは日本だけ。世界はどこも報じてない。

【田原】そう? 日本とブラジルが貰ったんでしょ。

【小泉】日本、ブラジルだけじゃないです。これまで欧州のいろんな国がもらっています。化石賞は、毎日授賞式があって、ある日は、なんと米国が1~3位を総なめです。そういった事実を見ずに、日本の報道が一部を切り取っているんです。

【田原】CO2の排出量は1位が中国、2位が米国、3位がインド。米国はトランプがパリ協定からの離脱を宣言した。実態はどうですか。

【小泉】カリフォルニア州などの都市は頑張ってますね。国際社会の米国への評価は二分しています。トランプ大統領をはじめとする政府のアクションに対しては、もうもの凄い辛辣です。一方で、カリフォルニア州とか一部の米国の動きは、非常に評価が高い。この両極端の状況。これが米国のいまの現実です。

【田原】中国やインドはどうですか?

【小泉】今回鮮明だったのは、気候変動に対する2030年までの削減目標をNDCと言いますが、中国やインドはこの目標に対して、ほかの国からとやかく言われたくない、自国の政策は自国で決めるというスタンスです。

【田原】世界の批判を受け入れる日本は、むしろ柔軟性があっていい?

【小泉】批判をそんなに気にする必要がないところもあるんです。

【田原】気にするのはいいことじゃないの?