FBの影響が大きくなりすぎないような配慮も

2019年10月、米下院金融委員会の公聴会に世界最大のSNSであるフェイスブック(FB)社のマーク・ザッカーバーグCEOが出席した。ザッカーバーグ氏といえば、FBの個人情報が不正流出した問題で18年4月にも米上院の公聴会に出席して陳謝、問題への対処とプライバシー保護の取り組みについて説明している。そのザッカーバーグCEOが再び公聴会に出席した理由、それはFB社が発行を予定している仮想通貨「リブラ(Libra)」の安全性について証言をするためである。

米下院金融委員会の公聴会に参加したフェイスブックのザッカーバーグCEO(2019年10月23日)。(AP/アフロ=写真)

19年6月、FB社はかねて計画を進めてきた独自の仮想通貨リブラを20年にスタートすると発表した。仮想通貨というと価値が乱高下して投機の対象になった「ビットコイン」などを思い起こす向きもあるだろうが、リブラは従来の仮想通貨とは異なる。これまでの仮想通貨は発行・運営母体が不在で価値の裏付けもなかった。

しかしリブラの場合、リブラの普及や運用を専門に行うFBの子会社「カリブラ」をはじめ、クレジット大手のビザやマスターカード、ネット決済大手のペイパル、配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズ、音楽配信大手スポティファイなど28の民間企業・団体で創立した「リブラ協会」が主導してリブラの運営、監督を行う予定になっている(その後、19年10月になってビザ、マスターカード、ペイパルなど7社がリブラ協会からの離脱を表明)。

FB自体はリブラ協会に参加しておらず、つまりはFBの影響が大きくなりすぎないよう配慮が施されているのだ。