「日本の刑事司法は世界から見て異様」なのか

1月4日付の社説で取り上げたのが、東京新聞である。東京社説は大きな1本社説で主張し、最後に「スパイ映画もどきの国外逃亡は、意外と日本の司法制度への厳しい忠告となる可能性があろう」と指摘するなど産経社説とは正反対の立場を取る。見出しも「司法への挑発と忠告 ゴーン被告の逃亡」である。

社説はひとつの新聞を読むだけではつまらない。自分の考えと同じ社説を読むだけでなく、あえて反対のスタンスの社説を読むことは刺激になる。自分自身の考え方を確認するのにも役立つ。

東京社説は中盤でこう指摘する。

「著名な被告の堂々たる海外脱出は、保釈中の監視態勢の問題や保釈の在り方の問題などをあぶり出した。裁判所、検察庁、出入国在留管理庁の連携そのものに重大なる欠陥が潜んでいることも明白になった。逃走の防止策は強化せねばならないし、そのための立法も必要かもしれない」
「ただ『保釈は認めないように』とか『被告は拘置所に閉じ込めておくべきだ』とかの論に結びつけては危険だ。もともと日本の刑事司法は世界から見て異様である」
「自白しない限り、拘置が延々と続く実態があるからだ。家族らとの接見が禁じられたりもするから、孤独から早く抜け出すために、虚偽の自白をする事態も生んでしまう。これは『人質司法』と呼ばれる」

東京社説の主張は前述した沙鴎一歩の主張と似ている。ただし「日本の刑事司法は世界から見て異様」という指摘はおかしい。

日本と欧州では捜査の段取りが大きく違うのである。司法制度の違いはそこから考えていく必要がある。

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