――お給料もカットになるんですよね。
【絵里子】はい。最盛期では30代で年収1000万円くらい当たり前に貰っていたのに、4月からは半分。私は両親を養っているし、何があっても辞められない。基本的に健康で、病気をしても有給を使ってきたので、今回残れたけれど、先行きは暗いです。
【咲子】サービスの質も落ちましたね。ちょっと前はお客様が1人クレームしただけで、そのフライトは失敗という敗北感があった。それほど完璧を求められていたんです。でもJALだから余計に期待されているところもありました。機内食のトレーに髪の毛1本落ちていても土下座するほどの騒ぎで、いつどこで、どうやって、なぜ入ったか、全部報告しなくちゃいけなかった。
今、先輩でレストランのマネジャーをしている人がいるんですけれど、「お客さんで髪の毛一本で大騒ぎする人はいない」と驚いていました。
【麻衣】私もお客様に追いすがって謝り倒したりしましたね。とにかく怒れるおじさんをそのフライト中に収めなきゃいけない。だから女でもなんでも使います。首のスカーフは3色あるんですが、大体ピンク。外国製の勝負下着をつけて、戦闘体制に入ってから飛んでますよ。
今は会社もだいぶ変わったから、クレームが1個でよかったね、というぐらいにはなったんですけどね。
【梨香】いわゆる「JALのCAに求められるサービス」の上では、すばらしい能力を発揮する人はたくさんいるんです。魅力的な、御手本にしたくなる女性もたくさんいた。そういう人が辞めていくのは本当にもったいない。ただ他では通用しない能力だったかもしれませんね。
時代が違っちゃったんでしょうね。大きな船は沈むのも速いんです。それをわかっていない人が多すぎたのかも。