今回取材した人々は、リストラされても減給されても、誰もがJALを熱く語った。今でも会社を愛しているのだ。

JALのCAやパイロットは、極めて高度なプロフェッショナル。ひとつのフライトを完璧に終えることに燃える「体育会系」のごとき集団だ。高給や高待遇に支えられ、ひたすら、ミッションを完結するための技術が磨き上げられ、優秀な「職人」はたくさん育った。しかし、かじ取りする本当の意味での管理職、経営陣は育たなかったのではないだろうか。

稲盛和夫会長兼CEOに就任早々、「八百屋すらできない」と言われた経営陣の多くは逃げ切り、ひたすら技術を磨いてきた職人たちが、人生の転換を迫られているのだ。ある意味で世間から隔離され、ひとつの目的に向かって精進してきたからこそ世界に誇るサービスが確立されたのだろう。が、それが本当に市場に求められるものなのか、会社の利益に貢献するのか、検証し、軌道修正する社員が欠けていたように感じる。

かつての花形職業・CAの場合は、女としての自分の売り時を最大限利用した人と、そうでなかった人で明暗がわかれた。結婚のみならず、普段から社外に目を向け、リスクヘッジを考えていたかどうかで今後の人生は大きく変わるだろう。

JALはいわば、巨大なガラパゴス島。そこにある問題は、日本企業全体の縮図に他ならないのではないだろうか。「目の前の仕事に全力を尽くした自分の身にこんなことが起こるなんて」と思ったときはもう遅い。今、ビジネスマンの誰もが、JALからの警鐘を無視しては生き残れない時代なのではないだろうか。

(市来朋久=撮影)