日本航空は、2010年1月19日、会社更生法の適用を申請した。
日航と管財人の企業再生支援機構は同8月末、11年3月末までに約1万6000人のグループ従業員を削減する更生計画案を提出。希望退職を順次募集したが、パイロットと客室乗務員が未達成となった。結果、10年12月31日付でパイロット81人、CA84人の計165人を整理解雇した。
昨年9月以降、リストラが激しさを増したJALの状況について現役&退職したCAが明かす。
水沢絵里子(仮名)●JAL現役客室乗務員/43歳
バブル真っ只中に入社。20代のときに短い結婚生活を経験したが、ほどなく離婚、バツイチの独身。元自営業で年金の少ない両親に仕送りをしている。恐れていた整理解雇を逃れ、現在、真剣に婚活中。
小倉麻衣(仮名)●JAL現役客室乗務員/34歳
バブル崩壊後、契約スチュワーデスとして入社、その後正社員に。既婚、子供あり。会社の破綻で自分の年収は大きく減ったが、夫の年収が高いので生活は安定している。
山内咲子(仮名)●元JAL客室乗務員/45歳
会社が破綻寸前だった2009年秋、危機を感じていち早く依願退職した。既婚で、子供はなし。現在は外資系の化粧品販売を手がける。「自分が輝ける仕事をしていきたい」。
大島梨香(仮名)●元JAL客室乗務員/34歳
10年秋に希望退職。2年ほど前に家庭の事情で2ヶ月ほど休職。既婚、子供なし。アート関係で独立した夫を支えるため、自分も飲食関係の仕事を始めたばかり。
――破綻後1年で、ついにパイロットと客室乗務員から整理解雇が出てしまいましたが、そこに至るまでの会社の状況を教えてください。まず、前回の取材で整理解雇に怯えていた水沢絵里子さんはいかがでしょうか?
【絵里子】私、ギリギリセーフでクビにならずにすんだんですよ! 客室乗務員は、昨年4月に35歳以上が特別早期退職の対象になったんです。ただ、結果的には、再就職の希望が持てる、30代の働き盛りばかりが大量に辞めてしまった。会社も困ったらしく、9月に管理職以外の45歳以上が全員呼び出されました。
成田駅の手前の公津の杜という駅に、JALの寮があるんです。本社でやるとまずいので、そこに呼び出されて、再生機構の管財人から、「あなたたちは10年以上前に辞めてなきゃいけなかったんです。会社に居場所はもうありません。会社を二次破綻させないためにも辞めてくれないと困ります」と、言い渡されて目が点になったそうですよ。
45歳以上は全員スタンバイ(自宅待機)ばかりのスケジュールにされました。それから2か月間フライトが入らない。スケジュールが真っ白なんです。すると、45歳が大量に辞めていった。
でも本当に会社が切りたいのは、50代前後以上で管理職じゃない人たちなんですね。年齢制限をすると一番若い方から辞めちゃうので、対象年齢が46歳、47歳とかだんだん上がって行きました。最終的には47歳以上を個人的に呼び出して、さらに圧力をかけたみたいです。