【麻衣】スタンバイの場合は、コードというのがあって、例えばS09なら深夜2時から朝9時まで自宅で待機しろという意味です。フライトが入ってる乗務員に病欠なんかがあったら代わりにいかなくちゃいけない。電話は携帯じゃだめで、家の電話にでないといけないんです。だから合コンとかに行っても2時には自宅に帰らなくちゃいけなくて、それでチャンスもいっぱい逃しましたけど(笑)。

それは置いておいて、今回はそこにS10と書かれてあって、それは全然フライトを入れてもらえない。退職してほしい人たちのための特別コードなんです。

ある先輩が「ずっと自宅にいないといけないんですか?」と人事に聞いたら「とりあえず連絡ができるようにしてください」と言われたって。ここで万が一連絡がとれなかったりしたらクビになるかもしれないと、怖くてずっと自宅にいたのに2カ月間一度も連絡なし……バカにしてるって怒ってました。

【梨香】ほぼ1年間、毎朝「気は変わった?」と退職勧告の電話が上司からかかってきていた人もいたみたいね。

【絵里子】48歳でこの間辞めた先輩によると、1回で退職に応じない47歳以上は、2回目の面接があったらしい。「面接の前に辞めれば、ラストフライトを入れてあげると言われたけれど、そうじゃないとフライトなしで退職させるって脅された」って言っていましたよ。

このラストフライトって、CAにとってはすごく大事なものなんです。昔は寿退職だと、婚約者や両親を乗せて、パリやNY便でやるんです。花束と涙涙で見送られて、それは華やかなものでした。

結局、その人は、「公津の杜」に2回呼び出されて、上司と人事課の人に説得され、11月30日の締め切りの前日に退職届けを出したそうです。それも「このまま踏ん張ると、整理解雇になって退職金も出なくなる」っていう噂が飛び交ったから、パニックになって退職したんです。でも、結局、自分と整理解雇になった人の退職金は同じだったと腹をたてていました。同じ世代でも、2カ月の白紙のスケジュール耐えて、クビがつながった人もいるらしいのに。