しかし、現在の韓国社会は、中年男性にも厳しい視線を向ける。「ゲジョシ」という言葉を作り、彼らが何気なくとってしまう行動を一つ一つ指摘するのだ。職場にお客さんが来たとき、女性社員にコーヒーを頼むと「ゲジョシ」になる。

「犬」と呼ばれないよう若者の機嫌を伺う

部下に30分早く出勤して会議の準備をするよう頼んでも「ゲジョシ」になる。飲み会で携帯電話ばかり見ている部下を注意しても「ゲジョシ」になる。そんな世の中になったのだ。20年前、青年だった彼らが当然と思っていた上司の行動が、今や社会的な指弾を受ける「パワハラ」になってしまった。

今を生きる韓国の中年層は、「ゲジョシ」というレッテルを貼られないよう不断の努力をしなければならない。前出のファンさんも、ゲジョシからの脱却に向けて勉強を開始した。

「最近、インターネットで『アジェ・ギャグ(親父ギャグ)』を学んでいます。あと、娘や妻に、『こんな話をされたらどう思う?』と訊いたりして、女性社員に対する接し方を学んでいます。仕方ないですよ。管理職である私は、部下からも評価を受けなければなりません。若い部下たちに良くない評価でもされたら、人事で不利益を受けます。私のほうから彼らの機嫌を取るしかないのです」

化粧品、整形手術も躊躇しない「美容男」

Kポップに続いてKビューティーが、韓流の新しい流れとして注目を集める中、韓国男性の美容ブームは、従来の「グルーミング(grooming)族」からさらに進化して、「グルダプター(Groo-dopter)族」を登場させた。

「グルーミング族」が美容やファッションに惜しみなく投資する男たちを指す造語だとすれば、「グルダプター族」はグルーミングとアーリーアダプター(early adopter)を合成した言葉で、美容のためなら化粧品はもちろん、整形手術も躊躇わない男たちを指す新語だ。

大手IT会社の役員を務めるキム・ギョンジュンさん(仮名・57歳)は、「グルーミング族」とはかけ離れた人物だった。顔が割れるように寒くて乾燥した冬でも、一度もローションを塗ったことがなかった彼が、数年前から百八十度変身し、若々しく見られるためなら整形手術も厭わない「美容男」になった。それは、40代前半の若い御曹司が会長の座に就いたことがきっかけだった。

「初めての役員会議の時、50~60代の役員たちの間に座った会長が、どんなに若く見えたか。会長を見た瞬間、自分が老けていることに恐怖を感じました」