これが韓国の「犬おじさん」リストだ

①コーヒー(お茶)は、女性がれてくれたほうがうまいと思う。
②女性あるいは店の従業員が自分より若そうだと、すぐにため口を使う。
③自分が間違っていても、後輩の前ではひとまず自説を言い張る。
④地下鉄で周りの人たちを気にせず、足を広げて座る。
⑤相手をよく知るために、私生活を詳しく聞き出す。
⑥飲み会も業務の延長! 一人残らず出席すべきだ。
⑦部下に、業務以外の個人的な仕事をさせたことがある。
⑧自分の価値観を人に押し付ける。
⑨酔っぱらって、公共の場所で大声で騒いだことがある。
⑩その気になれば、自分より10歳以上若い女性とも付き合うことができると思う。

「確かにゲジョシだ」ファンさんは呆然とした。ファンさんは、月に2~3回、仕事が終わった後、部下を連れて飲み会を開いていた。すべて自腹である。一人暮らしの部下たちに栄養補給させるとともに、仕事のストレスを解消してやりたいと思ったからだ。

飲み会ではいつも部下の私生活を話題にした。

「君はどうしてまだ結婚しないんだ」「好きなタイプは?」「男っていうのはね……」「私が若いときは……」

可愛かわいい部下たちの相談に乗っているつもりだったが、ファンさんのこうした行動は全部、部下には「ゲジョシ」と見なされていたのだ。

若者たちの反撃。中年男性への厳しい視線

韓国で「犬」という言葉は、相手をさげすむ接頭辞としてよく使われる。

ひどく汚れた席のことを「犬場(ゲパン)」といい、人をけなす時は「犬のような○○」「犬以下の○○」と言ったりする。人類最高のペットである犬が、なぜ韓国でこれほど冷遇されるのかという議論はさておき、犬をおじさんと合体させた「ゲジョシ」という造語の誕生は、韓国の中年男性に大きな衝撃を与えた。

韓国では、「ゲジョシ」は、既得権者である中年男性に対する青年世代の反撃の狼煙のろしと言われる。社会的な強者である中年男性への不満を、若者たちは自分が強者になれる「インターネット」空間で、造語の形で吐き出したのだ。

そして、これがオフラインにまで進出した。韓国の中年層が青年だった時代は、上司や年長者の権威的な行動を容認するムードがあった。かつては部長、あるいは課長、いや係長でさえも、部下たちの前で大言壮語し、気に入らない行動を指摘するのはもちろん、自分が生きてきた時代と比べて「昔はこうだった」と部下を叱った。