「顧客の30%が中年の男性」

キムさんは妻に勧められて整形外科を訪問し、目元の脂肪を除去する手術と、眉間と額のしわを取り除く施術を受けた。おかげで今は「40代に見える」とよく言われる。

キムさんは、「私たちのようなサラリーマンにとって、老けて見えるというのは、ポストを明け渡す時が来たことを意味します。今後は肌の手入れを怠らず、せっかく若々しくなった顔をできるだけ維持したいと思っています」と話してくれた。

ソウルの「ビューティーベルト」と呼ばれる江南で、「バノバギ整形外科」を経営するパク・ジョンリム院長は、「うちの病院の場合、男性患者の割合が10%を超えています。最近は現役で働く期間が長くなったおかげで、若さを長く保ちたい中年男性が来院するケースが増えています」と説明する。

パク院長によると、同じ男性でも年齢によって整形したいポイントが違うという。

「就活を控えた20代の男性の場合は、善良かつ明るい印象を与えるために目や鼻の手術を希望することが多いです。一方、50~60代の男性たちは、仕事を休まなくてもいい簡単な手術や美容注射を好みます。たとえば、ボトックスなどでしわを改善する治療などが人気です」

同じく江南にある「JF皮膚科」は、中年男性に人気の高いスキンクリニックの専門病院だ。顧客の30%が中年の男性で、大企業の役員から、弁護士や医師、学習塾の講師、さらには聖職者まで、その職業は多彩である。

チョン・チャンウ院長は、こう話す。「私たちの病院を訪れる中年男性の最大の目的は、若くて快活な印象の顔にすることです。ビジネスにおいて顔の印象は、その人の能力や信頼度にまで影響します」。

人の目を過剰に意識する「体面文化」

チョン院長は、手術に消極的な中年男性のために、手術をせずに顔の輪郭としわを改善する「印象クリニック」を考案した。

「印象クリニックは、来院患者を対象に7年前から始めた講義です。手術なしで若々しい印象にするため、生活習慣の改善を指導しています。口コミで広がり、今は大企業、商工会議所、官公庁からも講義の依頼があります」

祥明大学消費者住居学科のイ・ジュンヨン教授は、韓国男性の美容ブームについて、「人の目を過剰に意識する『体面文化』に起因している」と分析する。