ユーザーの声が新しいサービスを生む

——日本での展開当初から、アマゾンビジネスは日本特有の「月末締め・翌月末払い」に対応させました。

「月末締め・翌月末払い」の仕組みが、私が先ほど申し上げた「ワーキング・バックワーズ」の良い事例です。つまり、お客様のニーズを起点として、それを実現するための仕組みを作っていくということ。サービス開始前にお客様の声をお聞きしたところ、実に数多くの方からご要望を頂きました。

お客様のニーズを起点に、仕組みを作っていきます。われわれの行動理念として、まずサービスを展開するエリアに着目しながら、お客様の固有のニーズを踏まえ、そこから仕組みを作り、お客様のビジネスに活用してもらいたいと考えています。

——同じく日本でのサービス開始当初から、「ハンコ」に対応しました。

日本特有のもので、われわれも配慮しているのが日本のハンコ文化です。これは、日本でデジタル・トランスフォーメーションを推進するうえで対応が必要だと認識しています。

会社によってさまざまな見解があり、ハンコに対して寛容な会社もあれば、一度印刷して紙に一つひとつ押さなければならない会社もありますね。

見積書をPDFにして印刷できる機能を付けたのも日本が初めてです。商品の購入に関して、電子承認の仕組みを備えています。この仕組みを活用してもらえば「稟議りんぎ」のような会社の決定プロセスにも対応できます。ハンコが必要となると、なかなか難しいですね。

日本市場への期待は

——アマゾンビジネスの大規模なビジネスカンファレンス(Amazon Business Exchange、以下「ABX」と表記)が12月5日、東京で開催されました。イギリス(ロンドン)に次いで2番目の開催です。なぜ日本が2番目となったのでしょうか。

アマゾンビジネス インターナショナル部門統括責任者のトッド・ハイメス氏(撮影=プレジデントオンライン編集部)

非常にエキサイティングな会合でした。ロンドンより参加者が多かったんですよ。ABXの開催を告知した後の反応がものすごく大きかったですね。アマゾンビジネスへの関心も非常に高まっており大変ありがたく思っています。日本企業のデジタル・トランスフォーメーションを一緒に構築していくために、これからも継続して皆様にしっかりと寄り添っていかなければと思っています。

このようなイベントの開催順は、アマゾンの米国本社が決めているイメージがあるのかもしれないですが、実はそうではありません。ABXは、まずイギリスがやろうと声を上げました。それを受けて日本のマーケティングチームが「イギリスがやるなら日本でもやりたい」と言って開催が決まりました。

——「日本が2番目」というのは、米国・シアトルの本社が決めたのではないんですね。

シアトルから「こんなイベントをやりなさい」と言われてやっているのではないんです。日本のチームが声を上げました。なぜなら、今の日本のビジネス界における調達・購買活動には、ABXのようなイベントが必要だと肌身に感じているからです。