国民はちっとも豊かになっていない

さらに問題なのは、「バラマキ」が続き、財政がどんどん肥大化・悪化していることです。例の「桜を見る会」の入場券のバラマキもひどいものですが、それよりもっとひどいです。

今年度予算は約102兆円、来年度予算は105兆円程度の予定ですが、そのうち税収で賄えているのはたった約60兆円にしか過ぎません。残りの多くは財政赤字です。その財政赤字の残高が名目GDPの200%を超える先進国は日本以外にない最悪の状況です。それらのツケは私たちの子供や孫に回されます。

「現金給与総額」も「街角景気」もずっと低調

政府がいくら財政を拡大しても、国民の生活は豊かになっているとはいえません。図表3は、働く人一人当たりの給与を表す「現金給与総額」と、体感で景気を感じている人たち(タクシーの運転手、小売店の店頭に立っている人、ホテルのフロントマンなど)を対象にした「街角景気」の数字を表しています。

現金給与総額を見ると、確かに2013年までのマイナスからは脱していますが、その伸び率はわずかです。そして2019年に入ってからは前年比マイナスの月が多いのです。景気拡大が、働く人に恩恵を十分にはもたらしていないのです。

街角景気は、「50」が良いか悪いかの境目ですが、このところずっと50を切っており、経済の最前線で働く人たちの状況をつぶさに表しているといえるでしょう。