消費税増税にも巧みに対応

お得感を打ち出す戦略が功を奏したわけだが、KFCは10月の消費増税への対応でも巧みな戦略を打ち出して、うまく乗り切ったように思う。

前記の通り10月は既存店売上高が8.3%増と大きく伸びている。KFCでは、消費増税に伴う軽減税率の導入後も、店内での飲食と持ち帰りの税込み価格を統一した。その上でサイドメニューやセット商品の一部を10~20円値上げした一方、主力商品のオリジナルチキン単品などは税込み価格を据え置いた。後者の商品を店内で飲食する場合は2%分の実質値下げとなる。これにより割安感を演出することができ、集客に成功したと考えられる。

もっとも、KFCは持ち帰りの比率が約7割と元来高いことも大きく影響しただろう。軽減税率が適用されない店内飲食の比率が高い競合店と比べて持ち帰りで割安感が出るため、それが売り上げ増につながった面がありそうだ。

KFCとしては当然、お得感を打ち出す戦略を継続して好調な業績を維持・向上させたい考えだろう。消費増税により税込み価格を10円単位で統一したのも、消費者にわかりやすいかたちで価格訴求を行うためであり、今後もこの路線を突き進むだろう。

写真=ケンタッキーフライドチキンプレスリリースより
オリジナルチキン1ピース、コールスロー(S)、ビスケット、ドリンク(S)がセットになった「Wランチ」

11月1日には、新しい500円ランチとして、Sランチのポテト(Sサイズ)をサラダの「コールスロー」(Sサイズ)に変えた「Wランチ」を販売(21日まで)。既存店売上高がどこまで伸びるのかに注目が集まる。

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