韓国を分断してしまった文在寅大統領の思惑

文氏が曺氏の法相任命の意向を固めたころには、すでに多くの疑惑が出ていた。検察も捜査に着手していた。だれの目にも辞任という結末は明らかだった。それなのに文大統領は任命に踏み切った。日本では考えられない。

文氏は曺氏が辞任を公表した14日、大統領府の会議が始まると、その冒頭で「結果的に多くの対立を引き起こした点について大変申し訳なく思う」と頭を下げた。

だが文氏の性格なのか、こう口走った。

「検察の改革に対する曺氏の意思と困難に立ち向かう姿勢は、検察改革の大きな原動力となった」

これでは自画自賛だ。韓国世論も黙ってはいないだろう。

文大統領が曺氏の法相任命を強行したことによって曺氏の支持派と反対派の双方が大規模な集会を開くなど、両派の対立がかなり深まっていた。ソウル市内では連日のように、曺氏の辞任を求める保守派の大規模集会が開かれていた。曺氏の支持者らも大規模な集会を繰り返してきた。韓国を分断したのは文大統領である。

反日感情を煽れば、自らの支持率が上がる

韓国の世論調査会社リアルメーターが14日付で発表した世論調査によると、文政権の支持率は41.4%で、不支持の56.1%を下回った。韓国は来年4月に総選挙を行う。文氏はそれまで反日感情を煽って支持率を上げようと画策するに違いない。

事実、文氏が反日感情を煽ることを日本政府は懸念している。

菅義偉官房長官は15日の記者会見で「他国の内政に関することなので政府としてはコメントを控えたい」と正面から論評するのを避けたが、政府内には「文政権の支持率がこのまま下がり続ければ、日本に対してさらなる強硬姿勢をとるだろう」との見方が強いようだ。