キャプテンが重視され、レフェリーが尊重される理由

その源流は、ラグビーのルーツであるフットボールにあります。かつてのフットボールは、現在のサッカーとは異なり、数百人、数千人単位の村全体でボールを奪い合うゲームでした。19世紀になるとイギリスのパブリックスクールにも広まり、学校ごとにルールがつくられました。しかし共通のルールがないため、試合中、キャプテン同士が「さっきのプレーは反則ではないか」などと話し合ってルールを決めていました。

でも、それではゲームが進まない。そこで両チームのキャプテンが信頼する人にレフェリーを依頼するようになりました。それが、ラグビーで、キャプテンが重視され、レフェリーが尊重される理由なんです。

——ラグビーのルーツに関心をもったのは、どんなきっかけがあったんですか?

撮影=尾藤能暢

2016年3月に現役を引退してから会社員として働いたり、他競技のアスリートたちと会ったりするなかで、ラグビーの魅力に気付かされる機会が多かったのです。

なぜラガーマン同士はこんなに仲がいいのか

——引退後、ラグビー観に変化があったのですか。そもそも廣瀬さんはどんな魅力を感じてラグビーをはじめたのでしょうか。

廣瀬俊朗『ラグビー知的観戦のすすめ』(角川新書)

ぼくは5歳のときにラグビーをはじめました。ボールを持って走ったり、トライしたりすることが純粋に楽しかった。ほかの球技は、手を使ってはあかん、あるいは蹴ってはあかん、と制限がありますが、ラグビーはボールを投げても蹴っても、相手にぶつかって奪いとってもいい。球技と格闘技の要素を併せ持ち、なおかつ自由なところが面白いと感じました。

引退してからぼく自身がラグビーのどんなところに惹かれたのか、改めて掘り下げてみて1つの答えが見つかりました。それが、自己肯定感やな、と。

——どういうことですか?

テレビドラマ『ノーサイドゲーム』で、お笑いコンビ「ブリリアン」のコージと共演しました。彼はアメフトで大学日本一を経験した元アスリートなのですが、たびたび「ラグビーをしていた人はなんでこんなに仲がいいんだろう」と口にしていたんです。

確かに、ぼくの周囲を見渡しても、ラガーマン同士は仲がいいし、明るい。そこで、その理由を踏み込んで考えてみました。