国際的な認証基準で自社の養殖を評価
2018年4月2日、エーゼロ株式会社は、客観的な指標に基づいて、持続的なニホンウナギの養殖に取り組むことを発表しました。そしてこの発表に基づき、ASC(編集部注:水産養殖管理協議会。自然環境や地域社会に配慮した持続可能な養殖業の認証制度を提供する、国際的非営利団体。本部オランダ)の基準に従い、認証機関による審査を受けています(正確には「予備審査」であり、実際に認証を受けるために行う「本審査」ではありません)。
ASCの審査によってギャップ(解決すべき課題)を明らかにし、「持続的なウナギの養殖」という、遠い遠いゴールへの到達度合いを確認しながら対策を進めるためです。「持続可能なニホンウナギ養殖」というゴールを、国際的に認められているASCの基準に基づいて設定し、審査を通じて現状を確認しながら状況を改善することで、確実にゴールに近づくことができます。ASCのような客観的な指標に基づく取り組みは、ニホンウナギでは初、世界的に見ても稀有な例です。
認証機関による審査の結果、102件の審査項目のうち、68件が「適合」、14件が「軽微な不適合」、5件が「重大な不適合」、その他15件は「該当しない」とされました(*3)。
「重大な不適合」とされた件は、「飼料の原料に関するもの」と「稚魚の調達に関するもの」に大別されます。前者は、餌の持続性に関する問題です。ウナギの養殖では主に天然の魚を原料とした魚粉を用います。養殖が持続的であるためには、餌も持続的でなければなりませんが、その原料が持続的とはいえない、と判断されました。この問題は、大豆など植物性のタンパク質を用いて餌に占める魚粉の割合を下げたり、資源が豊富で持続的な魚を原料とした魚粉を餌に用いたりすることで解決可能と考えられます。
一方、後者の「稚魚の調達に関するもの」を解決することは非常に困難です。というのも、ニホンウナギの数は減少していると見られます。にもかかわらず、科学的な知見に基づいた、持続可能なシラスウナギの漁獲量の上限は設定されていません。また、捕獲と流通において違法行為が蔓延しているため、出所が明確なシラスウナギを入手するのは大変難しいことです。これらの問題は、1つのベンチャー企業が単独で解決できるものではありません。