鍵を握るのは三大要素を結ぶ「Why?」と「So what?」

三角ロジックの頂点の主張と、両底辺の論拠とデータの関係は、「なぜ?(Why?)」「だからどうした?(So What?)」の関係で結ばれています。上から下、つまり主張から論拠とデータに結び付けるキーワードが「Why?」です。また下から上、つまり論拠とデータから主張に結び付けるキーワードが「So What?」です。

主張ばかりで説得力がない場合、説得のための論拠とデータが不十分です。「Why?」をきちんと説明するよう心がけましょう。現状説明ばかりで「何が言いたいのか?」が明確でない場合、主張をきちんと伝えることを意識しましょう。

三角ロジックを理解するために、「税理士をめざそう」という例題で考えてみましょう。主張を「税理士の資格を取って自分の未来を切り開こう」とします。それを説得するためには、税理士資格の魅力を伝える必要があります。

そこで論拠として、手に職をつける必要性、独立開業の魅力、高収入の可能性を伝えます。データとして、サラリーマンより平均年収が高い、ベンチャー企業増加による顧客増加の統計データを伝えます。これで税理士の資格を取得する魅力が説得できるでしょう。

「水平思考」と「垂直思考」で応用力を身につける

マクロからミクロに考える習慣は、屁理屈に陥らないために極めて重要です。

これと同じような意味として、「水平思考をしてから垂直思考をする」という考え方があります。

水平思考とは、「広く浅く全体を把握すること」。一方、垂直思考とは、「特定の部分を深く深く分析すること」です。

まずは全体を広く浅く把握して、それから重要な部分を探して、深く深く分析することが大切です。

特に私たち日本人は、垂直思考をする習慣がDNA(遺伝子)レベルで体に染みついています。農耕民族である日本人が、太古の昔から与えられた村で一生を終え、水平思考をする習慣がなかったことに起因するのかもしれません。いきなり思いこんで「これしかない」という垂直思考からスタートすることが多かったといえます。

一方、欧米人は狩猟民族で、何もない広大な大地から、都市設計図を描いてきました。まず全体を見渡して、どこに道路を造るか、どこから水道を引いてくるかと、ゼロから都市計画を立てる水平思考からスタートすることが多かったのです。すぐに垂直思考から入るクセを直すことで、飛躍的に論理思考力が高まります。