業界の首位がドトールからスタバに交代したワケ
店舗数で業界2位の「ドトールコーヒーショップ」は、この10年、総店舗数は増えていない。
筆者は、『日本カフェ興亡記』(09年、日本経済新聞出版社)の取材時から、スターバックスとドトールを比較してきた。同書で紹介した当時の店舗数は、首位のドトールが1138店(08年8月末現在)、2位のスターバックスが841店(09年2月末現在)で、約300店もドトールのほうが多かった。それが現在、逆に300店以上の差をつけられた。
業績も伸び悩む。親会社のドトール・日レスホールディングスは、ドトール系の「ドトール」よりも、日レス系の「星乃珈琲店」に力を入れているような印象だ。
5年前、筆者はプレジデント誌上で「昭和レトロな喫茶店がなぜ、続々復活中なのか?」(14年12月1日号)と題し、当時の業界事情をレポートした。その中で触れたのが「コメダ珈琲店」「星乃珈琲店」「ミヤマ珈琲」だ。現在コメダは別表のように店舗拡大を続け、星乃も約240店となった。一方、ミヤマは1ケタの店舗数にとどまる。
コメダに向けられる「コーヒーがおいしくない」という声
19年に青森県への出店を果たし、全国47都道府県に進出したコメダは、店舗数も増え、業績も好調だ。
だが、消費者を取材すると肝心のコーヒーが「おいしくない」という声も多い。同店の主力商品「ブレンドコーヒー」は工場抽出で、それを各店に配送する。「どの店で飲んでも同じ味」という均質化の結果で、この味で消費者の支持を受けた。それが近年、不満が目立つのだ。
コメダと星乃は拡大したが、今後は別業態であるファミリーレストランとの戦いも待っている。広い座席でゆっくり過ごせる、店の特徴、客層がファミレスと重複するからだ。