「オバケの英語」との出会い

【三宅】私も字幕を表示させながらYouTubeをよくみます。非常に優れた勉強法だとは思いますが、ある程度英語に耳が慣れていないと効果が出ないかもしれませんね。

【西内】そうなんですよ。だから大人になったあとに改めて勉強法を探しているときに、たまたま『オバケの英語』(明川哲也、クレイグ・ステファン、宝島社)という一冊に出会いました。最近、新装版が出ましたけど、本当に名作だと思います。

発音だけに特化していて、例えば本の最初は「pの発音」からはじまるのですが、唇のこの部分にゴマを挟んで飛ばすような感じだよ、のようにものすごくわかりやすいコツが書いてある。あとはpを使った短い単語がたくさん使われた文章が書いてあるんですよね。それらをひたすら練習すると、頭の中で正しい発音がどういうものかが定着していきますし、英語独特の発音のルールも自然と覚えるのです。

【三宅】フォニックス学習法ですね。

英語の発音ルールを理解して得たこと

統計家の西内啓氏(左)とイーオン社長の三宅義和氏

【西内】はい。発音から入ると何がいいかというと、英語の文章を読むときに目の前の文字列を音の情報に脳内変換して読む癖がつくのです。逆に英語の発音ルールを学ぶと、「なんでアメリカ人はルールにのっとってhaveをヘイヴと読まないんだ」ということが気になるくらいなのですが。

もともと僕は黙読派なので本や論文を読むのが速いですが、そのせいで英語の文章もただの文字情報として処理していました。発音はよくわからないけれど意味はわかる、みたいな。でも発音のルールを理解してからというもの、文字と音がどんどんリンクしていくようになり、そのうち英語を聞いたときに脳内に英語の字幕が出てくるような状態になったわけです。

【三宅】自分が発音できる音は、耳が聞けるようになると言いますからね。

【西内】字幕になればあとは日本人が得意な読み書きですからね。これが僕の中での英語学習の一番のブレークスルーだったと思います。

フォニックスはたまたま僕にハマったのかなと思っていたのですが、僕の子どもも早くからフォニックスの概念を学ぶと、英語を話すのも読むのもすぐに上達していったのでけっこうこのやり方有効なんじゃないかと思いました。