教育の公平性とは何か

【三宅】中高では話すことに力を入れていませんから、できないのは当たり前ですよね。カリキュラムの話でいえば、今、学校教育も4技能重視ということで大学入試に民間のテストを使うという方向があります。ただ、異なるテストでフェアな評価ができるのかという反対意見もありますが、これについてはどうお考えですか?

【西内】そこは公平性が求められるので確実に標準化をしないと難しい気はします。もちろんこれらは相関するので、このテストで何点であれば、このテストでは何点ぐらいだろうという調整はできますが、相関係数が1ではないということは基本的にバラツキがでるということですよね。

すると親が裕福であったり、教育熱心であったり、試験会場の選択肢が多い都市部の受験生であったりすると、片っ端からテストを受けて一番いい結果だけを報告できてしまう。それは教育の公平性という観点でどうなのかなという気はしますね。

「英語字幕で見てシャドーイング」の効果

イーオン社長の三宅義和氏

【三宅】たしかにそうですね。ではスピーキングが苦手だった西内さんは、そこからどうやって英語に慣れていったのですか?

【西内】結果論ですけど、私の場合、まず頭の中で英語の発音を完璧に整理することから入ってうまくいきました。実はそれ以前に一度英語学習に失敗していまして……。

【三宅】どんな失敗ですか?

【西内】僕の昔のバンド仲間が高校卒業後にアメリカの音楽専門学校に行っていたんですね。奨学金をもらって。入学にあたっては音楽的な才能も当然あるでしょうが、コミュニケーション能力も見られているはずなので、どうやって英語を勉強したのか聞いたんです。すると「そんなの英語でやっているドラマや映画をひらすら英語字幕で見てシャドーイングすればいいだけだ」と言ったので、それはいいことを聞いたと思ってまねをしてみたんですよ。

ただ、いくらやっても文字と音の世界がリンクしない。会話が複雑になりがちなサスペンス系ばかり見ていたのも悪かったのかもしれないですけど。