「人間にしか担えない重要な仕事」とは

「人間同士なら言葉を超えた目つきや表情、雰囲気から相手の心理を読み取ることができ、仕事で壁に突き当たって悩んでいる部下の存在に気づくことができます。そして『俺も最初は苦しかったんだ』と共感し、励ましながら、部下の成長を支えていくことができます。そうした“心のマネジメント”はAIには決して真似ができないため、ますます重要になっていきます」

田坂広志『能力を磨く』(日本実業出版社)

さまざまなメディアを通して“AI失業”の警告が発せられ、それに不安を抱く若者をよく見かける。一方で「自分は管理職になったし、もう安泰だろう」という根拠のない理由で、自己研鑽に背を向ける40代以上のビジネスパーソンも少なくない。

「実は、AI失業の危機は、自らを省みるいい機会なのです。3つの能力のうち自分には何が足りないのかを明確にし、意識的に身に付けていく。それができるかどうかで、AI時代に活躍できるか否かが決まっていくでしょう」

続けて田坂氏は「危機という字は『危険』と『機会』の2つの意味を含む言葉なのです」と指摘する。あなたは、どちらを選ぶのだろう。

田坂広志
米国シンクタンク、日本総合研究所などを経て、2000年多摩大学大学院教授に。現在、名誉教授。ダボス会議専門委メンバーも務める。
(撮影=加々美義人)
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