「早慶に一番入りやすいのは高校受験」は本当か
男子であれば、受験業界ではしばしば「早慶に一番入りやすいのは高校受験」と言われることがある。同学年の学力レベルの高い層が中学受験でごそっと抜けた後の高校受験なので、難関の早慶付属(系属)といえども入りやすいと言われる。慶應義塾高校の定員が約370名(帰国・推薦を含む)、慶應義塾志木高校が約230名(帰国・推薦を含む)、早稲田大学高等学院が約360名(推薦を含む)と、小学校や中学校より合格定員は多い。
実際どうなのだろうか。大学受験と高校受験で現代文の指導を長年おこなっている武川晋也講師はこう語る。
「高校入試で早慶に合格できるか否かは、『本人の成長度』次第です。15歳という多感な年齢で内的成長にバラつきが見られる中で、どれだけ各科目に対して真摯に自律的に学んできたかで大きな差がつきます。だから、かつて受けた中学入試で燃え尽きてしまっているようなタイプで、私立中学校から早慶を目指したい、そして、親が中学入試でのわが子の失敗を高校受験でリベンジさせたいと思うようなところは、高校受験の過程のどこかで『頭打ち』になってしまうことがよくあります」
高校から早慶付属校に合格しやすいタイプとは
そして、優秀な男子の高校入試は「早慶」と一括りにして受験する傾向にあると申し上げたが、ここにはリスクがある。早慶付属(系属)にこだわって入試日程を組んでいき、結果としてすべて不合格だった場合、不本意な進学先しか残らないことがあるからだ。
それでは、どのような子が早慶付属校に合格しやすいのだろうか。武川氏は即答した。
「とにかく数学が『抜けて』できる子は合格する可能性が高いですね。換言すれば、英語や国語がそこそこできても、数学で四苦八苦しているようでは合格を勝ち取るのは難しいといえます」
高校入試では、数学の得点結果の標準偏差値が大きい、つまり、数学は高得点を取れる子と、低得点になってしまう子という二極化が起こりやすい。
補足ながら、優秀な女子受験生については「早稲田」か「慶應」のどちらを選ぶか、早めに決める必要がある。入試日程を見ると理解できるように、2月10日に「慶應義塾女子高校」と「早稲田実業学校高等部」がぶつかっている。そして、男子よりも定員が少ないため、それぞれハイレベルな争いになる。