▼旅行経験を語る
伴侶探しのために世界一周
2007年に大学を卒業してすぐ、世界一周の旅に出ました。きっかけは内定先の懇親会で、女性社員から「いまのうちに結婚相手を見つけておきなさい。うちの会社は忙しすぎて、入社してからじゃ遅いから」と言われたことです。日本で婚活らしきことをやってみたのですが、いい出会いがありません。それなら世界に出てみようと思ったのです。
韓国から中国に入り、その後は予定を立てずに直感で行き先を決めるという旅でした。北京からシベリア鉄道でロシアに入り、欧州諸国を巡ってからトルコ経由でアラビア半島に入りました。その後、エジプトから南下してアフリカ東部を縦断。南アフリカから南米へ渡り、日本人移民100周年を祝っていたブラジルへ。チリ滞在中には、チリ空軍の飛行機で南極にも降り立ちました。さらに中米、北米と回って、最後は米国の西海岸から帰国しました。8カ月で52カ国・地域を回ったことになります。
すぐ気がついたのは、日本女性というだけでもてるということです。特にアジアやアフリカの国々には、日本を先進国へ押し上げたのは女性の力だという共通理解があるようで、現地の男性には、日本女性と結婚すれば自分も成功するのではないかと考える人もかなりの数いるのです。
もちろん、声をかけられたからといって、ほいほい付いていくわけではありません。私は「いい目をしているかどうか」、そして「会話が面白いかどうか」で判断しました。いい目をしている人は邪心がなく、話して楽しい人は頭がいいのです。
ヨルダンで出会った遊牧民ベドウィンの男性ガイドとはとても気が合いました。しかもTOKIOの長瀬智也さんに似たイケメンです。そこで「一緒に日本に来ない?」と誘ったら、「ぼくはベドウィンだから、砂漠のないところではベッドインできないよ」と、洒落の利いたセリフで断られてしまいました。
ラトビアで仲良くなった英国人の男性が、日本まで訪ねてきてくれたこともあります。ただ、私はもう働き始めており、リーマンショックの直後というタイミングの悪さもあって超多忙。そのため、ほとんど会えないまま、「君はtoo busyだ」という言葉を残して彼は帰国してしまいました。
そんな旅の経験を話題にすることがビジネスでも役に立つとわかったのは、転職先の企業再生ファンドから福岡県のラジオ局「クロスFM」へ派遣されてからのことです。
クロスFMに社長室長として赴任したのは12年。その後、社長に就任して経営再建に当たるのですが、そもそも茨城県生まれの私は福岡にはまったく縁がありません。現地に溶け込み人脈をつくるうえで、非常に役立ったのが「世界一周ダンナ探し旅」の話です。