同社のトップは多数の著書で知られるカリスマ経営者の小山昇氏。小山社長は2000年代の初頭から、中小企業における社内コミュニケーションを活性化するうえで、飲み会の重要性に気づき、社内制度として活用してきた。以後、20年近くの試行錯誤によって「成果を上げる正しい飲み会」の方法を確立し、マニュアル化している。現在、武蔵野ではそのノウハウを学びたいという全国の経営者のために、「経営者コミュニケーション実践塾」というセミナーを開催。期間は半年で、各企業に武蔵野式の「成果を上げる正しい飲み会」が定着するよう、職場で指導するコンサルティングも含まれる。

飲み会研修に潜入してみた

新宿駅に近い高層ホテル。窓から東京の街が一望できる会議室では、定員10人の席が経営者たちで埋まっていた。まずは参加者による1人4分の自己紹介タイム。参加者の中には関東近県だけでなく、九州や北陸など遠方からの経営者の割合も多い。それぞれの経営者が日ごろから、自らのコミュニケーション能力の足りなさを痛感していることを吐露し、社内の人間関係が希薄になっていることを憂いていた。

この後、登壇したのは武蔵野の矢島茂人専務だ。矢島専務は「飲食は人をゆるます」という言葉を紹介。ともに食事をすることで、人は相手に信頼と安心を持ち、無防備になるため、本音を語りやすくなると説明。その飲食の力を社内コミュニケーション向上に役立てることを経営者は真剣に考えるべきだと力説する。

武蔵野が運営する「経営者コミュニケーション実践塾」●(左)武蔵野の矢島茂人専務。「飲食の力を社内コミュニケーション向上に役立てる」。(右)武蔵野経営サポート事業本部コミュニケーションサポート事業部部長の三根正裕氏。武蔵野流の「サシ飲み」の流儀を伝授。

一方で、上司や経営者は相手が話しやすくなるよう、細心の注意を払い、そのための環境を整えることが必要だと主張。最も重要なのは、自分が話すのではなく、相手に話してもらうこと。矢島氏によると、飲み会は6人を原則とする。経営者や上司の両脇に1人ずつ座り、向かいに3人が並ぶという配置だ。これは互いにお酒を注げる距離を保つことを重視してのことだという。参加者はそれぞれにメモ帳かタブレット端末を持参。重要なことはその場でメモできる環境も必須だという。ここで最近開催されたという「グループ懇親会」の模様が動画で紹介された。