このままならバブルとおぼしき状況が出現する展開も

その後、2013年4月の量的・質的金融緩和、2016年1月のマイナス金利政策の導入など、日銀は“異次元”の金融緩和を進めたのである。この結果、わが国の景気が緩やかに持ち直してきたにもかかわらず、長期金利が0%を下回るという異常な事態が続いている。

FRBは日銀化しつつある。「米国の金利が低すぎる」「異常事態だ」という指摘もあるが、わが国が経験してきたことを基に考えると、政治要請の高まりに直面した中央銀行が、独立性を維持し続けることはかなり難しい。政治要請の高まりに直面したFRBが追加的な利上げを行うことは困難だろう。

多くの投資家は低金利が続くと楽観を強めている。米国では株式市場への投資資金の流入が増え、株価が大きく上昇して相場の過熱感が高まり、バブルとおぼしき状況が出現する展開も排除できない。

真壁 昭夫(まかべ・あきお)
法政大学大学院 教授
1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。
(写真=AFP/時事通信フォト)
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