講師の仕事でスケジュールが錯綜

私は、自分の専門である編集やライティング、PRなどに関して、さまざまなセミナーで講師を担当しており、複数の主催者、運営会社と付き合いがある。なかには、ひとつの運営会社の依頼で何コマも講座を受け持つことがあり、そこで生じるのがスケジュールの錯綜だ。

自分のスケジュール管理が行き届かないのも悪いのだが、「どの講座」が「いつ開催される」のか、わからなくなることが少なくない。そのため、運営会社には「Googleドキュメント」上で担当講座を一覧にしてもらい、それを弊社の従業員・Y嬢が把握。彼女から私にすべてのスケジュールが伝えられるような体制にしている。先方も気を利かせて「Googleドキュメント+メール連絡」という二段構えにして、万全を期してくれている。

担当者の弁明に滲む“小物”感

しかし過去に一度、先方がGoogleドキュメントへの記入を忘れることがあった。私は講義の存在に気づかぬまま、直前に「○月×日の講義、よろしくお願いします」とリマインドのメールを受け取ったのだ。このメールは担当者だけでなく、CCで先方の上司やY嬢にも共有されている。

「Googleドキュメントだけでなく、メールもきちんとチェックしていなかったお前が悪い」という指摘もあるだろう。だが、こちらとしては「Googleドキュメントにある一覧を、スケジュールを把握するための、いちばんの材料にしていた」という事情がある。そのため、以下のような趣旨のメールを先方に「全員返信」で送った。

「○月×日の講座ですが、Googleドキュメントに記載がありませんでした。本当に講座は開催されるのですか? 申し訳ありませんが、把握しておりませんでした。しかし、スケジュールは空いておりますので、どうぞよろしくお願いいたします」

すると先方の担当者から、すぐにCC付きで返信が届いた。メールの趣旨は次の通りである。

「私は以下に転送したように、先日すでにメールで今回のスケジュールについて送っています。Googleドキュメントには先ほど書き加えておきました」

メールを「転送」モードにし、「○月×日○時に私はキチンと、こういう文面のメールを送っています。あなたもちゃんと宛先に入っております」ということを明示したわけだ。その行為自体はまあ当然の対応なのだが、メールを読みながら実にイヤ~な気持ちになった。なんというか……言外から滲む「小物臭」に違和感をおぼえたのだ。

CCに入っている上司をはじめとした内輪の人間全員と弊社のY嬢に対し、「私はこのようにキチンと連絡をしています。Googleドキュメントに書き入れていなかったのは当方のミスかもしれませんが、先に送ったメールをしっかりとチェックしていなかったあなたのほうが悪いと思います」と言われたように感じた。加えて、上司に向けた「悪いのは私ではなく、いつまで経ってもスケジュール管理がなっていない中川さんです」という猛烈なアピールにも見えた。