通訳をつけるという方法もありますが、企業のトップや現場のリーダーは、やっぱり英語をネイティブ並みに喋れる資質を持っていなければならないと思います。相手を理解するということに関して、言語の力はとても大きい。通訳ではどうしても微妙な表現の違いが埋められず、お互いの意思の7割くらいしか感じ取れないと思います。
英語を学ぶということは、ビジネス上役に立つということのほかに、ちょっと楽しい世界を広げていけるという側面もあると思うんです。英語を学んだら「ほかの言語もちょっとやってみたいな」と興味が広がっていく。それで、たとえばイタリアに行ったとき「Quale e` il piatto piu` speciale in questo ristorante?」(このレストランで一番おいしいものは?)とか、ドイツで「Ein bisschen billiger machen」(少しまけて)なんて喋れたら、世界中どこでも案内できますよね。
英語を喋りたいという気持ちは今でも強い
数年前、ジャパネットで紹介する羽毛布団の撮影でポーランドに行き、打ち上げで酒場にて飲んでいたときのことです。「誰か歌え!」という声があがり、みんなの前で23歳のときに覚えたポーランド民謡「森へ行きましょう」を歌いました。「Szfa dzieweczka do laseczka do zielonego, do zielonego, do zielonego……」って。そうしたら場の空気が1つになって、拍手喝采。「なぜ日本人が、ポーランド語で歌えるんだ」と。
そんなふうに、語学というのは1つ学べば楽しみがどんどん広がって、人生を豊かにしてくれると思います。仕事という目的を持って勉強するのもいいですが、新しい世界を広げていこうという気持ちで学ぶとまた違ってくるのではないでしょうか。
真の意思疎通はネイティブ並みの語学力で行わないと実現しないと思っているので、英語を喋りたいという気持ちは今でも強いです。だから、数年後に機会があればホームステイをしたいですね。日本人がいるところだと何年経ってもうまくならないので、米国アーカンソー州の田舎あたりにふらっと行きたい。身元は隠してね(笑)。
○ 外国人観光客に対して、ひたすら英語で話しかける
× “ネイティブ”になる価値を理解せず勉強する
ジャパネットたかた創業者
1948年、長崎県生まれ。大阪経済大学卒業、阪村機械製作所に入社。その後、家業の「カメラのたかた」に入社し、86年に独立しジャパネットたかたの前身となる「たかた」を創業。2015年に代表を退任。現在はサッカーJ2、V・ファーレン長崎社長。