マスター・メンターは身近な人でなくてもいい

こうやってマスターやメンターの系譜はつながっていくもので、それは21世紀に入っても変わらない。むしろネットワーク社会のおかげで、今までは出会うことすら叶わなかったような人ともつながりやすくなる。

逆に言えば自分が成長したときは、面倒くさがらずにプロフェッショナル軸の「弟子」とプラベート軸の「後輩」を持ち、その系譜を永続させていく姿勢が重要である。

山口揚平『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』(プレジデント社)

ちなみに私のM&Aの領域のマスターは三菱商事、アステラス製薬など多数の社外取締役や監査役を務める岡俊子氏だ。その岡氏のマスターが旧デロイトトーマツやアビームコンサルティングを設立した西岡一正氏である。

マスターやメンターは必ずしも自分のすぐ近くから探す必要はない。

自分が習得したい分野で能力的にも人間的にも尊敬できる人を見つけたら、多少強引でも弟子入りさせてもらう道もある。本や記事を読んで感銘を受けた人がいたら、SNSでダイレクトにメッセージを送ってアポイントを取るという方法もあるだろう。もしくは講演会などに参加して、講演後の交流タイムで挨拶をし、フェイスブックなどでつながり、その人が何かプロジェクトを動かすときに真っ先に手を挙げ、無償で貢献するという方法もある。

弟子入りさせてもらううえで最も大事なことは、愛嬌。次いで、とにかく使えるヤツと思われることだ。

山口 揚平(やまぐち・ようへい)
事業家・思想家
早稲田大学政治経済学部卒。東京大学大学院修士(社会情報学修士)。専門は、貨幣論、情報化社会論。1990年代より大手外資系コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わったあと30歳で独立・起業。劇団経営、海外ビジネス研修プログラミング事業をはじめとする複数の事業、会社を経営するかたわら、執筆・講演活動を行っている。
(写真=iStock.com)
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