アルバイトの悪ふざけ動画がSNSで爆発的に拡がる「バイトテロ」。ネットに流れた個人情報を消し去ることは難しい。人生を棒に振る可能性があるのに、なぜ投稿するのか。ITジャーナリストの高橋暁子氏は「動画を投稿する人は『自分も炎上するかも』とは思っていない」と分析する――。

くら寿司、大戸屋、すき家……続く「バイトテロ」

「バイトテロ」が続いている。バイトテロとは、外食店やコンビニエンスストアなどでアルバイトが不適切動画をSNSに投稿し、炎上することを指す。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/SetsukoN)

たとえば「くら寿司」の学生バイトが、一度ゴミ箱に捨てた魚を拾って調理するような動画を投稿して炎上。くら寿司は、学生を退職処分の上、民事・刑事的措置をとることを発表している。

マスクをかぶりズボンを脱いだ状態でふざけている動画を投稿された「大戸屋」は、該当のアルバイトを退職処分にした。さらに、国内の全店を一斉休業して再発防止のための従業員研修を行うとともに、スマートフォンの持ち込み禁止とSNS投稿を禁じる対策をとっている。

その他、すき家、ビッグエコー、バーミヤン、ファミリーマート、セブン‐イレブンなどの大手チェーン店で、バイトによる不適切動画投稿、通称「バイトテロ」が続いている。連日メディアで報道されているにも関わらず、なぜバイトテロはやまないのだろうか。理由と対策について考えていきたい。

「バカッター」から「バカスタグラム」へ

バイトテロの歴史は古い。バイトテロと言えば、Twitterによる一連の炎上事件が思い浮かぶ人は多いだろう。2013年頃に、アルバイトがコンビニエンスストアのアイスケースに入った写真をFacebookに投稿・Twitterに流出して炎上した事件をはじめ、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで大学生が迷惑行為をしてTwitterで自慢し刑事処分になった事件、アルバイトが食器洗浄機に入った写真を投稿し、炎上してそば屋が閉店した事件など、多数の炎上事件が起きた。

Twitterによるものは「バカッター」と呼ばれたが、最近のバイトテロはInstagramの「ストーリーズ」によるものが多く、「バカスタグラム」などと呼ばれることもある。もともと、写真や動画つきの方がわかりやすく炎上しやすい傾向にあったが、最近は動画投稿の増加でさらに炎上しやすくなっている。

一般的にはInstagramは、趣味や関心で知らない人ともつながる場だ。ところが学生は、仲間内のコミュニケーションの場として使っていることが多い。履歴に残る写真は精選したものしか載せられないが、24時間で消える「ストーリーズ」という機能では、リアルタイムにいろいろなことを投稿しているようだ。