各社もサイドメニューを強化してきた

くら寿司は、回転ずしチェーン業界における、サイドメニューのパイオニアといっていいだろう。当初は物珍しさから、サイドメニューで集客を実現できていた。だが、次第に競合も同様の施策を打ち出してきた。

スシローは、最近では17年11月にスイーツ開発プロジェクト「スシローカフェ部」を発足し、スイーツの強化を図っている。「はま寿司」はラーメンが有名だが、18年5月からは日本各地のご当地料理を複数回にわたって提供するキャンペーン「うまいもん祭」を始め、「長崎焼きちゃんぽん」や「じゃがバターいかの塩辛のせ」といったサイドメニューを期間限定で次々と販売している。かっぱ寿司も、有名店とコラボしたラーメンや有名パティシエとのコラボスイーツの販売に力を入れている。この状況で、くら寿司のサイドメニューの競争力は相対的に低下している。

スシローは“本筋”のすしにも注力

そして重要なのは、くら寿司では本筋であるすしの競争力も低下していることだ。スシローは17年11月から、全国各地で水揚げされた魚を羽田空港経由でその日のうちに届ける飲食店向けオンラインマーケット「羽田市場」を活用して鮮度の高いネタの提供を始めた。これは本筋であるすしのおいしさをアピールすることにつながっている。

かっぱ寿司は「すしがおいしくない」とされて客離れが起きていたが、女優の吹石一恵を起用し、「やる、しかない」と味の向上をイメージさせるテレビCMを放送するなどして積極的にアピールしてきた。筆者の主観ではあるが、今のかっぱ寿司は、以前に比べて圧倒的においしくなっている。このような状況で、くら寿司のすしが埋没してしまった印象は否めない。

もちろん、くら寿司もすしの品質の強化を図ってはいる。だが、サイドメニューの話題が先行してしまい、すしの品質を十分に伝えきれていなかったように思える。こうした複合的な理由で、くら寿司から顧客が離反していったと考えられる。

サイドメニューを強化するのもいいが、客離れが深刻となっている今、くら寿司は一度原点に返ってすしを強化し、それをアピールしていくべきではないか。回転ずし店の本筋はすしであることを忘れてはならないだろう。

従業員のレべルを上げていくことも必要だ。不適切動画問題の再発防止に向けた従業員教育はもちろん、接客力を高めるための教育も実施していく必要がある。高い接客力は、リピーター確保に欠かせない。客離れを止めるための抜本的な対策を、早急に講じることが求められている。

佐藤 昌司(さとう・まさし)
店舗経営コンサルタント
立教大学社会学部卒業。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。店舗型ビジネスの専門家として、集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供している。
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