安楽死大国のオランダを支える「家庭医制度」

安楽死と言えば、オランダだ。オランダでは2001年に世界で初めて安楽死法が成立し、翌年から施行されている。オランダでは医師に薬物を注射してもらうなどして命を断つことが合法的にできる。さらにオランダでは患者の苦痛を取り除くような消極的安楽死(尊厳死)は、通常の医療行為になっている。

専門家によると、安楽死が合法的になった背景にはオランダ独自の家庭医制度が強く影響している。

国民全員が普段の健康状態を診る家庭医を持っている。家庭医は自分の患者がどう自分らしく生きるのか、どうやって死に臨もうとしているのかまでを詳細に把握している。オランダではこの家庭医が了承しない限り、安楽死はできない。安楽死法が施行されたオランダでも、安楽死はまれで、死亡総数に占める割合はわずか数%にすぎないのである。

患者と医師、病医院の濃密な関係があって初めて安楽死が成り立つ。「透析を再開したい」という女性患者の気持ちをくみ上げることができなかった公立福生病院の行為は、「殺人」に相当するのではないだろうか。

(写真=時事通信フォト)
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