NHKも調べ上げた「作業着」のインパクト
日産自動車のカルロス・ゴーン前会長(64)が3月6日、東京拘置所から保釈された。その際、スーツではなく作業着姿に「変装」していたことが話題になっている。
民放のワイドショーだけでなく、NHKのニュース番組でも、こと細かに報じていた。NHKの報道はこんな具合だった。
「乗った軽ワゴン車、身につけていた帽子や作業着は、どこのものなのでしょう」
「軽ワゴン車には埼玉県内の塗装工事会社の名前が書かれていました。NHKがこの会社に問い合わせたところ、女性事務員が『経緯は分かりません』と答えていました」
「かぶっていた青い帽子には『N』の文字がありました。NHKで調べたところ、埼玉県内にある鉄道車両整備会社のものと分かりました」
「都内の作業着販売店によると、着ていた作業服は広島県内のメーカーのものとみられます。似たような作業着は上下セットで5500円だそうです」
ずいぶんと熱心に調べたものだ。公共放送のNHKがここまでやるとは思わなかった。裏を返せば、ゴーン氏の変装にはそれだけのインパクトがあったということだろう。
「ナポレオンが収監先から脱出したことと同じ」
作業着と軽ワゴン車は弁護士が用意したというが、ゴーン氏の変装をめぐっては、「後ろめたいところがあるのだろう」などと批判的な意見が目立つ。
「変装」は海外のメディアも取り上げた。アメリカのニューヨーク・タイムズは「交通指導員のユニホームのようだ。彼が現われるのを何時間も待っていた大勢のリポーターの裏をかこうとした」と書き、フランスのフィガロ(電子版)は「ナポレオンが労働者から服を借りて収監先から脱出したことと同じだ」と伝えた。
変装の真意は何だったのか。
ゴーン氏の弁護人で、6日の保釈に立ち会った弁護士の高野隆氏は、8日付の自身のブログで「保釈に際して行われた『変装劇』はすべて私が計画して実行したものです」と明らかにした。