海外メディアの批判は、地裁の判断に影響を与えたのか
「弁護人を変更した3回目は国内住居に監視カメラを設置し、パソコンや携帯電話の使用を制限するなど、より厳しい条件を提示して保釈許可決定が出た」
「だが、証拠隠滅を回避する実効性を、弁護側が課す条件で判断することに問題はないのか」
「ゴーン被告はいまも日産の取締役であり、日産や事件の関係者に強大な影響力を行使できる立場にある。口裏合わせなどの可能性は否定できない」
「海外における資金の流れの全容解明は捜査の途上にあるとされ、ゴーン被告の保釈が今後の捜査や公判の維持に影響を与えることはないか、疑問が残る」
ここまでゴーン氏の保釈を問題視する産経社説は、バランス感覚を欠いていないだろうか。検察擁護の社説と受け取られても仕方がない書きぶりである。
新聞社の社説にはバランス感覚が必要だ。その感覚を失ってスタンスばかりを重視していると、やがては読者も失う。そこを理解してほしい。産経社説はこうも書く。
「長期の勾留に対してはゴーン被告自身の強い反発があり、主に海外のメディアからも強い批判があった。これらが地裁の判断に影響を与えたとすれば問題だろう」
なぜ海外メディアからの批判に耳を傾けてはいけないのか。いまの国内外の世論の動向を知ってこそ、裁判官は時代に沿った判断ができる。これからの司法には柔軟な思考が要求される。
(写真=時事通信フォト)