断りたい面談依頼▼「空いている日程を教えてほしい」への対処法
「忙しい人」認定されるための方法
大して会いたくない人から、「空いている日程を教えてほしい」と言われたらどうするか。この要求に応じたくならないのは、失礼な聞き方だからです。一見こちらの都合に合わせているようですが、「その日は都合が悪くて」という言い訳を最初から封じている。そんなデリカシーのない人とは、会わないに越したことはありません。
そこで思わず、「しばらくは全部予定が入っているので、空いている日はないですね」と答えてしまいたくなりますが、それだと「ないがしろにしやがって……」と反感を買うのは確実。礼儀として、スケジュールを調整する素振りくらい見せたいものです。
こんな要求に対して、僕なら、「すみません、いま育児が忙しくて」「仕事で次のステップに進むための準備中なので」「来月、仲間とやってるバンドで大事なステージがありまして」などの大義名分を振りかざします。これは言い換えれば、「自分は真剣に仕事をしているだけでなく、家族や趣味などの人生で大切にしているものがあり、空いている時間はすべてそれに注ぎたいと思っている」という意思表明にほかなりません。
とはいえ、いつもダラダラしている人がこんなことを言うのは不自然です。納得してもらうためには、日頃から「あの人は仕事が忙しい」「あの人はプライベートで打ち込んでいるものがある」と思われるような、「キャラ設定」に努めるといいでしょう。たとえば世間話のついでに、「今朝も5時起きでした」「これから熊本に出張です」といった、いかにも忙しそうなフレーズをちょいちょい挟み込む。さらに、「午後だけでミーティングが4つもあるんですよ」「1日2時間、家事育児に費やしているもので」と具体的な数字もちりばめると、イメージが湧いてより効果的です。そうすることで周囲から「忙しい人」認定してもらえます。
ただし「空いている日を教えて」と言ってきたのが上司の場合、こちらの業務量を把握しているから、「仕事が多忙」という言い訳は通用しません。プライベートの事情を強調するか、観念してつきあうしかないでしょう。ただ僕が思うに、上司がプライベートな時間に会いたがるのは、自分が上司に「こいつとは日頃の交流が不足しているな」と思われている証拠。声がかかるのを予防するには、勤務時間内で密接に関わっている雰囲気を醸し出すことです。最近は働き方改革で職場における「健全な無駄」まで排除されていますが、1日5分くらいの雑談をして交流を持てば、上司が勤務時間外に誘ってくる機会は格段に減るでしょう。
また、取引先から「直接お目にかかってお願いしたいことがあるので、ご都合のいい日を教えてください」などと言われた場合も面倒くさいものです。僕だったら、「最適な対応をしたいので、事前に資料を送ってください」と答えます。向こうは直接会うのが礼儀だと思っていても、資料を読めば5分でわかる話だったりする。そうすることで、「この件なら僕よりあの人のほうが詳しいですよ」などと対応して、会わずに用件を済ますことができるのです。
良い言い方:「日常的に忙しい人」感を出す
ダメな言い方:「しばらくは全部埋まってます」
千葉商科大学専任講師
1974年生まれ。97年一橋大学商学部卒業、リクルート入社。玩具メーカー、人材コンサルティング会社を経て、2012年に独立。15年より千葉商科大学専任講師。専攻は労働社会学。近著に『社畜上等! 会社で楽しく生きるには』(晶文社)など。