21世紀の子供たちに必要な教育とは

FutureEdu Tokyoは、イベントやワークショップから活動をはじめましたが、現在の中心的な活動は、『Most Likely to Succeed』という映画の上映会です。

この映画は、「人工知能やロボットが生活に浸透していく21世紀の子供たちにとって、どのような教育が必要なのか?」というテーマについて、有識者や学校への取材を積み重ねて制作されたドキュメンタリー作品で、世界35カ国、7500以上の学校や図書館などで上映されています。

私がこの映画と出会ったのは、サンフランシスコの教育現場の視察を行ったときでした。当時、日本の教育現場だけを見ていても未来の教育のイメージが見えないと感じていた私は、『Most Likely to Succeed』の放映後に行われた、先生と保護者、生徒による意見交換会を目の当たりにして、その熱量に打たれました。そこで、日本でもこうした対話の場を作りたいと思ったのです。

私は日本の保護者や先生と関わることも多いのですが、多くの人が、教育についてもがいており、何らかの解を求めています。『Most Likely to Succeed』による対話は、解を見つけるきっかけになるのかもしれません。

上映会は現在、東京を中心に日本全国に広がってきています。また、この映画の舞台となる学校と一緒に、日本の教員向けの研修プログラムも開発しており、これは経済産業省の「未来の教室」という実証事業のプロジェクトとして採択されました。

スタディツアーでセンスメイキングを“買う”

私は、最先端の現場に足を運ぶことの価値を強く認識しています。最近はスタディツアーのように現場で体験や学びを得るツアーが世界的なトレンドになっていますが、これは自分の普段の生活では得られない体験への投資にほかなりません。

『センスメイキング』、複雑な世の中で生き抜くための審美眼を磨くことの重要性に触れられていますが、おそらくスタディツアーに参加する人たちは、ある意味でセンスメイキングを“買い”に行っているといえます。「『動物園』ではなく『サバンナ』」という記述もありましたが、やはりリアルに触れることこそが、今まさに求められているのではないでしょうか。

しかし、忙しい日本の教員の方は、海外の現場を直接見に行くのは難しいでしょう。そういった意味からも、『Most Likely to Succeed』を見て、擬似的にでも日本と違う教育現場を体験していただきたいと考えています。