お金が集まれば、日本代表は強くなる

【田原】具体的にどうやってやるの?

【葦原】まだ構想段階ですが、競技者と観戦者のデータベースをつくりたい。たとえば普段は部活で忙しいバスケ部員にたまたま休みができたときに「今日近くでこんな試合があります」とプッシュ通知をしたり、引退後の空白期間に試合をレコメンドするアプリがあってもいい。ゆりかごから墓場まで、スポーツと接点を持つ世界観をつくっていきたいです。

【田原】葦原さんのご著書を読みました。タイトルは『稼ぐがすべて』。だからマーケティングのことしか考えていないのかと思いました。

【葦原】タイトルは出版社が決めたので過激になりましたが、私の真意は「稼ぐことを起点にしよう」です。これまでスポーツ界は、まず競技を普及させて、普及させたらレベルが底上げされて強化され、強化されればいつか稼げるという戦略でやってきました。しかし、それは幻想で順番が逆です。大切なのは、まず収益化すること。その利益を強化や普及につぎ込むことがスポーツの発展につながります。

【田原】稼いでから強化、普及という流れはもうできていますか?

【葦原】はい。ただ、ビジネスは短期で立ち上げることができても、強化は少し時間がかかります。中長期の視点で農耕民族的に着実にやっていけたらなと。2020年東京オリンピックへの出場はまだ決まっていませんが、選手たちはいま一生懸命頑張っています。ぜひ応援をお願いします!

葦原さんへのメッセージ

僕は野球部出身。日本のプロスポーツといえば野球かサッカーだと思っていたから、Bリーグの躍進には驚きました。対談してよくわかったのは、むしろ日本のプロ野球リーグが遅れているということ。新聞社系の球団が力を持ちすぎていて、リーグ全体でまとまれないんですね。

葦原さんは野球界の出身ですが、日本プロ野球を参考にするのではなく、アメリカの手法を取り込んで1年目から軌道に乗せた。目のつけどころはさすがです。いつか野球界に戻って、古いやり方を刷新してほしいな(笑)。

田原総一朗の遺言:日本スポーツ界の体質を変えろ!

(構成=村上 敬 撮影=宇佐美雅浩)
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