同時期に問題発生「ひきこもりの子供の高齢化と親の要介護」

私はひきこもり家族がいるご家庭向けのセミナーでは、必ず親の介護問題について話をしている。自分の足で探せる健康状態のうちに、各家庭が持つ資金の範囲内で住み替えられそうなところを探してほしいからだ。

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ところが、介護の話をすると、多くの親御さんが嫌な顔をする。「自分たちの介護のことよりも、親亡き後の子どもの生活についてもっとアドバイスをしてほしい」という気持ちからだろう。

だが、今回のケースのように、資産的にも年金額でも余裕があるケースでなければ、父親か母親のどちらかに介護が必要になった時点で、資金繰りが行き詰まるケースは多くなる。介護にかかる費用をきちんと見積もっておかないと、親が亡くなった時点での資産額が見積もりとは大きく外れてしまう可能性があるからだ。

長男が警察のお世話になることのほうが悲しいはず

相談者の中に、父親、あるいは母親に介護が必要になったケースが出てきている。実際に介護が発生すると、それ以降はじっくりと施設を見学する余裕がないこともリスクになる。そのため、私が見学したことのある施設をご紹介する機会も増えている。

「ひきこもりと介護」といってもピンとこない方がほとんどだが、「ひきこもりの高齢化と親の介護問題」という言葉に置き換えると、イメージできる人は増えるのではないだろうか。

ひきこもりのお子さんがいるご家庭では、親が介護認定を受けて、ホームヘルパーが来るようになったのに、自宅に他人があがり込むことを嫌い、追い返すケースも出てきている。介護認定は受けているのに、介護サービスは受けられず、困り果てているご家庭も知っている。ひきこもりのお子さんがいるご家庭で親が要介護状態になった場合は、介護施設へ住み替えないと、介護放置状態になってしまう可能性が高いのではないだろうか。

今回は、母親の認知症に加え、「長男の暴力から逃げて身を守る」ことを考え、住み替えの提案をした。70代後半の父親に、住み慣れた家から離れてもらう提案をするのは酷だと思うが、長男から傷つけられてしまい、長男が警察のお世話になることのほうが悲しいはずだ。時間は相当かかることを覚悟したうえで、慎重に実行支援をしていこうと考えているところである。