母親が介護施設に入所後、父親は賃貸住宅に住み替える
以下に、今回のケースにおいて、これから必要な作業を書き出してみた。
(1)母親が介護認定を受けるための申し込みを行う。
(2)介護認定が要介護3以上であれば、特別養護老人ホームに入所を申し込む。空き状態はホームごとに異なるため、複数箇所への申し込みをおこなう。
(3)要介護1、あるいは要介護2と認定された場合、介護型ケアハウスにいったん住み替える。介護型ケアハウスに住み替えて時間がたち、介護状態が重くなったら特別養護老人ホームへのさらなる住み替えをおこなうか、そのまま介護型ケアハウスに住み続けるかは、入所後の様子を見て決める。介護型ケアハウスでは待機もできるため、急ぐ必要がないのは安心材料となる。
(4)母親が住み替える介護施設が決まったら、父親の引っ越し先を探す。長男が自発的に引っ越すことは考えにくいため、父親が先に引っ越すのが現実的である。また母親の最終的な住まい(特別養護老人ホーム)が決まるまでは、いったん賃貸暮らしを選択したほうが安全かもしれず、この辺りは介護施設と物件探しを並行しながら決定する。
(5)父親の住み替え先を見つけて引っ越しが完了し、新生活にも慣れてきたら、長男のマンション探しをおこなう。ここは時間がかかりそうな作業だが、父親の年齢を考えると、3年以内には決着をつけたいところである。
長男の引っ越し完了後、自宅の売却作業をする段取り
(6)長男の引っ越しが完了したら、自宅の売却作業をおこなう。長男が住み替えを断固拒否した場合は、自宅を保有したままの可能性も残る。
仮に長男が自宅に住み続けたとしても、父親亡き後は父親が購入したマンションを賃貸に出して、収入を得られる。長男の老後は、国民年金に賃貸収入を足せば、生活は継続できることが計算上(キャッシュフロー表による収支状況の計算)、つかめた。
また、自宅を手放さない場合、将来的に自宅の土地を担保にして、リバースモーゲージなどの利用も検討できそうである。いずれにしても、本来はじっくり検討すべき「働けない長男の生活」は、父親に危害を与えて警察沙汰などの問題を起こさない限り、成り立つと思われる。
(7)母親の入居費用は、住み替え先候補として私が名前を挙げた介護護型ケアハウスの場合、ひと月20万円くらい。この介護型ケアハウスについては、「介護認定が受けられれば、入所は可能」との返事をもらう。
ただし現在は満室なので、数カ月程度の待機期間は必要とのこと。待機者はいないそうなので、介護認定を受けるまでの時間を考えれば、待機期間はそれほど問題にならないと考えられる。懸念されるのは、介護認定を受けて、母親が申し込めるようになるまでのあいだに待機者が発生すること。確実に入所するため、仮申し込みをしてしまうかは検討中。
特別養護老人ホームに入所できるまで、自宅で待機する方法もあるが、今回のケースでは早い住み替えを優先すべきだと考える。ちなみに特別養護老人ホームに住み替えた後の費用は、母親の場合はひと月8万~11万円くらいと想定される。
(8)母親が介護型ケアハウスへ住み替え、さらに父親と長男が別々に生活すれば年間収支は赤字になるが、貯蓄が底を突くほどの心配がないことを、キャッシュフロー表で確認。特別養護老人ホームに住み替えられれば、赤字は抑えられ、キャッシュフローは改善する。