ダブルベッドをビジネスクラスに設置した数字的根拠

国土交通省が2年に1回実施する「国際航空旅客動態調査」をみると、個人旅行客の構成人数がわかる。最新の2015年版で主要4空港(成田、羽田、関西、中部)の種別を調べると、1人48%、2人33%、3人9%、4人6%、5人以上4%という結果だ。単純に言えば、半数が1人旅、3分の1が2人旅なのである。

機内の席配置。グレーがビジネスクラスで、紫がエコノミークラス。ビジネスクラスの中央座席では仕切りを外すと、4人が向かい合わせに座ることができる。

カタール航空のエアバスA350‐1000は、ビジネスクラス46席を装備する。「1‐2‐1」という座席配置で、両サイドの窓側となる1人席の数は22席で全体の49%。旅客動態調査とほぼ一致する。それ以外は隣り合う座席を希望する2人以上のグループなのだ。ダブルベッドを希望する人も相当数いるはずだ。

ビジネスマンの中にも夫婦での移動は一定の需要がある。海外赴任へ配偶者の帯同や、欧米でのパーティは夫婦そろっての参加が多い。新婚旅行に奮発して乗ってみるカップルや、乳幼児を寝かせたいという富裕層もいるだろう。

中央列のすべてがダブルベッド仕様ではない

カタール航空は、2017年夏、フランスのル・ブルジェで行われた世界最大の航空ショーでボーイング777‐300ERを地上展示した。筆者はここで実際に「Qsuite」を見ることができた。

通路の光景は従来のビジネスクラスとはまったく違う。個室の壁が続いており、上部が開いたカプセルが並んでいるようだった。

ビジネスクラスの様子。

「1‐2‐1」のシート配列のうち、筆者が注目したのはシートの中央列だ。1列ごとに前向きと後ろ向きが交互に配置されている。奇数列は機体後方を向いており、デバイダーを下げれば隣同士でダブルベッドになる。偶数列は機体前方を向いており、2人は隔離された並びとなる。中央列のすべてがダブルベッド仕様というわけではない。

奇数列の隣同士は、座席の上からマットレスを敷くことができ、ホテルのダブルベッドと同じ状態になる。一方、奇数列と偶数列は向かい合わせなので、前後のデバイダーを下せば4人のボックス席ともなる。これも斬新な席配置だ。