部下がパニック障害になった場合の対応法
では実際に身近な人、たとえば会社の同僚や部下がパニック障害となったら、どう対応すべきなのか。
「パニック発作が疑われるけども診断が降りていない場合は、まずは念のため身体の疾患を疑います。無駄足になる可能性もあるが、精密検査してもらうのは手順としては必要。また、部下に診断が下りているなら、上司としては産業医を交えて勤務の相談をする。発作が起こる状況が明らかであれば、それを避ける。出張が多い部署であれば、スケジュールや配置転換を考慮する。オーバーワークで睡眠不足になると症状が悪化するので、そのあたりも気に掛けるべきです」
ここで大事なのは、単独で判断しないこと。
「上司が単独で措置を決めると、問題になる場合があります。必要であれば、部下の主治医に意見を求めるのも手でし。実際に、上司とともに来院する人もいます」
日本には精神障害の症例ごとの統計データが存在しない。だが岩波氏の実感では、パニック障害に悩む人は徐々に増えているという。働く人を必要以上に締め付けない社会が求められているといえそうだ。
岩波明(いわなみ・あきら)
精神科医
1959年、神奈川県生まれ。東京大学医学部卒。医学博士。都立松沢病院をはじめ、精神医療機関で診察にあたり、2012年より昭和大学医学部精神医学講座主任教授。現在、昭和大学附属烏山病院長も兼ねる。著書に『発達障害』(文春新書)、『大人のADHD 最も身近な発達障害』(ちくま新書)など多数。
精神科医
1959年、神奈川県生まれ。東京大学医学部卒。医学博士。都立松沢病院をはじめ、精神医療機関で診察にあたり、2012年より昭和大学医学部精神医学講座主任教授。現在、昭和大学附属烏山病院長も兼ねる。著書に『発達障害』(文春新書)、『大人のADHD 最も身近な発達障害』(ちくま新書)など多数。
(構成=佐伯香織 写真=iStock.com)