企業で多い「人的ミス」による流出

では、企業の場合はどうだろうか。企業でも、顧客データなどのさまざまな情報管理に法人向けクラウドサービスを利用するところが増えてきている。一般的な会社では、社内サーバーでデータを保管するよりも、法人向けクラウドサービスに保管するほうが、セキュリティレベルは高くなるだろう。自然災害や停電などによるデータ破損などのリスクも避けられるという意味でも、クラウドサービスは安心度が高い。

しかし企業で多いのが、誤操作、誤送付などの人的ミスによる流出リスクだ。データ共有をする場合に、社員が間違った相手や間違ったファイルなどを共有してしまうミスは少なからず起きている。人的ミスはなかなか防ぎづらいものなので、チェック機能などが用意できるといいだろう。

Uberでも起きた個人情報流出

2017年には、Uberが自社のネットワーク上にあった5700万人のユーザー情報と60万人の運転手に関する個人情報を流出させたことが明らかとなった。2016年10月、同社エンジニアがUberのユーザー名やパスワードを含むコードを「GitHub」の個人アカウントで公開していることを、あるハッカーが発見。

ハッカーはUberのネットワークで開発者アカウントにアクセスし、同社のサーバーにアクセスしてユーザー情報などにアクセスしたというわけだ。Uberはこの事実を一年間隠蔽していた上、ハッカーに10万ドル支払っていた。これもやはり人的ミスが原因と言えるだろう。

クラウドサービスは、非常に便利で時代に合ったサービスだ。うまく使えば仕事もプライベートもより便利に効率的になる。しかし、クラウドサービスのセキュリティは必ずしも万全ではない。さまざまなリスクがあることを理解しておくべきだろう。

高橋 暁子(たかはし・あきこ)
ITジャーナリスト
書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。 SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著作多数。『あさイチ』『ホンマでっか!? TV』などメディア出演多数。公式ブログ
(写真=iStock.com)
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