捕鯨推進議員の悲願の代償はかなり大きい

そうでなくても、外交上のダメージは予想される。反捕鯨国の中には米国、オーストラリア、ニュージーランド、英国などが、日本とのつながりの深い国が多い。これらの国とぎくしゃくすることになりかねない。特に今年、貿易協定の交渉が控える日米関係に影を落とすことになれば一大事だ。

また捕鯨支持国側からも、根回しなく日本が単独離脱したことへ不満を抱く国が出てくるかもしれない。

一部の捕鯨推進議員の悲願を実現することによって失うものは、とてつもなく大きくなるかもしれない。

実際、新聞も、普段は政権寄りの論調が目立つ読売、産経の両紙までが批判的な社説を掲載している。

これは「日本第一」外交の始まりか

ここまで読んで、今回の安倍政権の決定が、トランプ米大統領の手法に似ていると気づいた人も少なくないのではないか。

トランプ氏は2016年の大統領選で当選以来、環太平洋連携協定(TPP)から離脱、さらには国際的な気候変動対策の枠組みである「パリ協定」からの離脱も発表するなど、自分の意見と合わない枠組みから次々と去っている。一連の「米国第一」の外交は、国際社会を混乱に陥れているのはご承知の通り。

安倍氏は、どの世界のリーダーよりもトランプ氏と親しいと自負している。それ故、外交手法もトランプ氏のようになってきたのだろうか。

国内では「安倍一強」を謳歌し、自分と意見の違う政党や勢力を退けることが多い安倍氏。外交でも「トランプ化」を進めていくことになれば、安倍政権は新しい道に足を踏み入れることになる。協調外交を捨てて「日本第一」外交を進むことになれば、「出発点はIWC離脱だった」と、後日語り継がれることになるかもしれない。

(写真=時事通信フォト)
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