「自制心」はハトでも持っている

では、双曲割引の弊害に立ち向かうにはどうすればよいのか。まずは、自制心(セルフコントロール)と意志を養成することだ。双曲の心理的なメカニズムをよく理解しそれを織り込んだ計画を立てる。まずは一カ月後の「自分」が勝手に計画を変えるかもしれないと知ることだ。

自制に関しては、米国・南コネティカット州立大学のマズール教授らが4羽のハトを使っておもしろい実験を行っている。

最初、同じ遅れを伴った大小2つのエサから1つを選ばせる。ハトは当然大きいほうを選ぶが、小さいエサの遅れを徐々に小さくしていくことで、遅くとも大きなエサを選ぶ「自制心」をハトに植え付けたのだ。結果、1羽は途中で死んでしまったが、残り3羽は11カ月後の実験でも「自制心」が見られたという。徐々に我慢に慣れることで自制が養成される一例である。

(構成=山下 諭 撮影=川島英嗣)